大豆の甘みじんわり 下町の風情が残る尼崎市杭瀬本町１の中市場。八百屋や魚屋、惣菜店が軒を連ねる通路の一角に、創業５８年の豆腐店「宮島庵」がある。 　えりすぐった国産の有機無農薬大豆と伊豆大島の天然にがりを使った有機豆腐が評判を呼び、地元の主婦だけでなく、遠方から足を運ぶ常連も多い。 ２代目店主の宮島義彦さん（６２）は「味はもちろん、体にも安心」と胸を張る。
なかでも、地元ゆかりの近松門左衛門の名を冠した「近松豆腐」（220円）と、たっぷりの湯葉を入れた「ゆばとうふ」（320円）は、尼崎の逸品を選ぶ「メイドインアマガサキ」のグランプリに輝いた。 　どちらもとろけるようにきめ細かく、大豆の持つ甘みがじんわりと舌の上に広がる。特製のつゆも付いているが、まずはそのまま口に運ぶのがお薦めだ。 　店を継いで31年。大豆の産地や食感の違いを楽しめるよう20種類を作りわけ、「白雪」や「一心」などの名を付けた。「大上段に構えず、いろんな味を楽しんでほしい」。気取らない宮島さんの口ぶりに、素材と丹念な仕事への自負がのぞいた。 宮島庵杭瀬店 尼崎市杭瀬本町1-18-13 午前7時〜午後7時。木曜定休。 TEL：06-6488-9101